流動比率・当座比率とは、安全性に関する財務指標です。この記事では流動比率・当座比率について解説します。
流動比率とは
流動比率とは、短期的な安全性に関する財務指標です。下記の計算式で計算され、短期の負債を短期の資産で支払う能力を示しています。
流動比率(%)=流動資産÷流動負債
設例で解説します。
(例)A社の期末の流動資産は1,000百万円、流動負債は500百万円であった。
流動資産1,000百万円÷流動負債500百万円=流動比率200%
流動比率の目安
流動比率の目安は200%以上とされています。これは流動負債の2倍以上の流動資産があれば短期的な支払能力に問題がないと考えられるからです。
なお、流動比率は会社の成長段階や業種などによって大きく異なることも知っておく必要があります。例えば、成長中の会社は積極的な投資により銀行借入が膨らむため流動比率が低くなることがあります。また、ゼネコンなどの建設・土木や、デベロッパーなどの不動産はプロジェクトごとに銀行から借入をするため流動比率が低くなる傾向にあります。
当座比率とは
当座比率も短期的な安全性に関する指標です。下記の計算式で計算され、短期の負債を当座資産で支払う能力を示しています。
当座比率(%)=当座資産÷流動負債
当座資産とは、現金や預金・売掛金・電子記録債権・未収金・短期貸付金などの換金性の高い資産のことです。簡便的に流動資産合計から棚卸資産を控除して計算することもあります。
棚卸資産を控除する理由は、棚卸資産は損傷や陳腐化(流行りが終わったり、スペックが古くなること)などにより、貸借対照表に計上されている価値がないことがあるからです。
設例で解説します。
(例)A社の期末の流動資産は1,000百万円(うち棚卸資産200百万円)、流動負債は500百万円であった。
(流動資産1,000百万円ー棚卸資産200百万円)÷流動負債500百万円=当座比率160%
当座比率の目安
当座比率の目安は100%以上とされています。これは流動負債と同額以上の当座資産があれば短期的な支払能力に問題がないと考えられるからです。
会社の事業活動の安全性に関する指標
会社は電子記録債務が支払不能になったりり、銀行からの借入を返済できないと追加の資金調達ができなくなり事業の継続が難しくなることがあります。
流動比率・当座比率はそのような会社の短期的な安全性を評価する財務指標ですが、貸借対照表のみに基づく安全性のため、インタレスト・カバレッジ・レシオも同時に計算することをオススメします。

