決算前にサプライズで上方修正や下方修正が行われることがあります。この記事では上方修正・下方修正の基準について解説します。
上方修正・下方修正とは
上方修正とは、決算短信で開示される業績予想を見直した結果、業績予想が良化(一般的には売上・利益が増加すること)することです。一方、下方修正(一般的には売上・利益が減少すること)とは業績予想が悪化することです。
場合によっては、増収・減益(売上が増えて利益が減ること)となったり、減収・増益(売上が減って利益が増えること)となるケースもあります。
上方修正・下方修正が行われた場合、「業績予想の修正に関するお知らせ」などというIRが開示されます。なお、業績予想の修正は第2四半期(累計)の修正の場合、通期の修正の場合、両方の修正の場合の3パターンがあります。
発表されるタイミング
会社は業績予想の修正があった場合、ただちに開示しなければならないとされています。
発表日は決算日前や決算発表の数週間前であったり、決算発表の直前や同時であったりまちまちです。発表時間は場中の場合と、引け後の場合がありますが、引け後の方が多くなっています。
上方修正・下方修正の基準
業績予想の修正の開示義務には一定の基準が設けられています。具体的には下記の場合に開示しなければならないとされています。なお、下記で紹介するものは連結業績予想の基準です。個別業績予想は連結業績予想と比較して重視されない傾向があるため下記より基準が緩やかになっています。
- 売上高が10%以上増減した場合
- 営業利益・経常利益・親会社株主に帰属する当期純利益が30%以上増減した場合
株価に与える影響
通常、上方修正の場合は株価にプラスの影響、下方修正の場合は株価にマイナスの影響を与えます。
しかし、実際の株式市場でどのような影響があるかは一概には言えず、市場の期待感と関係性があります。例えば上方修正がある程度予想されていた銘柄が十分に上がっていた場合に、市場予想を上回る上方修正が発表されるとモメンタム効果によりさらに株価が上昇することがあります。一方で市場の期待を下回る上方修正が発表された場合には株価が下落することもあります。下方修正については上方修正の真逆の動きとなります。
上方修正はインパクトが重要
上方修正は決算の進捗状況からある程度予想されており、それを材料とする投資家も多いため、業績予想の修正自体が株価に与える影響は概ね1か月前後です。投資においては、上方修正そのものよりも業績が好調かに主眼を置いて、上方修正は会社の業績予想のクセと捉える必要があります。