その他有価証券評価差額金とは|会計処理から財務諸表上の表示まで解説

その他有価証券評価差額金とは、その他有価証券の評価差額です。この記事ではその他有価証券評価差額金について解説します。

目次

その他有価証券評価差額金とは

その他有価証券評価差額金とは、「その他有価証券」に係る含み損益を意味する勘定科目です。その他有価証券は原則として、損益が発生しても損益計算書には計上せず貸借対照表に計上します。その理由は、こちらをご覧ください。

その他有価証券の会計処理

その他有価証券の会計処理を設例で解説します。

(例1)期末のその他有価証券(取得価額1,000,000円)の時価は1,200,000万円であった。なお、実効税率は30%とする。

 期末日
投資有価証券200,000その他有価証券評価差額金140,000(*1)
繰延税金負債60,000(*2)

(*1)(時価1,200,000ー取得価額1,000,000)ー繰延税金負債60,000=140,000
(*2)(時価1,200,000ー取得価額1,000,000)×実効税率30%=60,000

(例2)期末のその他有価証券(取得価額1,000,000円)の時価は1,200,000万円であった。なお、実効税率は30%とする。

 期末日
その他有価証券評価差額金140,000投資有価証券200,000
繰延税金試算60,000

(*1)(時価1,200,000ー取得価額1,000,000)ー繰延税金資産60,000=140,000
(*2)(時価1,200,000ー取得価額1,000,000)×実効税率30%=60,000

その他有価証券評価差額金の財務諸表上の表示

その他有価証券評価差額金は、個別財務諸表では純資産の部の「評価換算差額等」に、連結財務諸表では純資産の部の「その他の包括利益累計額」にその他有価証券評価差額金として計上します。なお、その他有価証券評価差額金がマイナスの時(含み損が発生している時)は数値の前に「△」を付けて表示します。

貸借対照表の純資産の部

実現可能性が不明な含み損益

その他有価証券評価差額金は含み損益を意味する一方、その他有価証券の性格から、含み損益が実現する可能性は不明です。その他有価証券評価差額金の多寡や増減に一喜一憂する必要はありませんが、ROEの計算要素には含まれるため、知識を整理しておきましょう。

目次