株式投資の基礎 第3回【ROE】

第3回の今回はROEについて解説したいと思います。
PERについては株式投資の基礎 第1回【PER】を、PBRについては株式投資の基礎 第2回【PBR】をご覧ください。

目次

ROEとは

財務指標の一つであるROEはReturn On Equityの頭文字です。アールオーイーと読み、日本語では自己資本利益率と言います。一般的にはアールオーイーと読みますが、ごく稀にロエと読む方もいらっしゃいます(間違いではありません)。
また、株主資本利益率と言われることもあり同義と考えて頂いて問題ありません。

POEは下記の計算式で計算され、自己資本に対する当期純利益の割合を示しています。

ROE=当期純利益÷(期首自己資本+期末自己資本)/2

簡単な設例で見てみます。

(例)A社の当期純利益は100百万円、期首の自己資本は1,000万円、期末の自己資本は1,100百万円であった。

当期純利益100百万円÷(期首自己資本1,000百万円+期末自己資本1,100万円)/2=ROE9.5%

※ 自己資本は株主資本に評価換算差額等を加算したものです。また、ROEの計算上は期首と期末の自己資本の平均値を利用することが理論的となります。

この指標は当期純利益を、自己資本で割ることにより、株主の持分に対する当期純利益の割合を示しています。
つまり、自己資本を使ってどれぐらい効率的に利益を生み出すこができているかという収益性に関する指標です。

ROEの使い方

ROEの代表的な使い方は他社比較となります。他社のROEと比較することにより収益性を分析します。

ROEの基準は?

ROEに絶対的な基準がないため平均値を基準とすることが一つの考え方です。
東証に上場する会社の2022年度(2022年3月期~2023年3月期)の全産業のROEの平均値は9.1%でした。
そのため、ROEが10%以下の場合、「ROEが高い」とは言い難いでしょう。

なお、アベノミクス後からROEが注目され始めましたが、これは諸外国に比べて日本の上場会社のROEの低さが過去から指摘されていたからです。

日本の上場会社のROEが低い理由は売上高当期純利益率の低さと、自己資本回転率の低さが原因です。
特に自己資本回転率については、日本の上場会社は安定的に配当することを好むため、内部留保を急激に減らすことは想定し難く、ROEの改善にはまだまだ課題が残っています。

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