株式投資の基礎について解説したいと思います。第1回の今回はPERについてです。
PERとは
株式指標の一つであるPERはPrice Earnigs Ratioの頭文字です。ピーイーアールと読み、日本語では株価収益率と言います。
PERは下記の計算式で計算され、一株当たり当期純利益に対する株価の倍率を示しています。
PER=株価÷一株当たり当期純利益
簡単な設例で見てみます。
(例)A社の株価は1,500円、一株当たり当期純利益は100円である。
株価1,500円÷一株当たり当期純利益100円=PER15倍
※ 一株当たり当期純利益は、当期純利益を期中平均株式数で割ることにより算出されます。
この指標は投資額である株価を、株主に帰属する一株当たり当期純利益で割ることにより、理論的に投資額を何年で回収できるかを示しています。
PERの使い方
代表的なPERの使い方をご紹介します。
●同業他社比較
同業他社のPERと比較することにより株価が割安か割高かを分析します。ただし、同業他社であっても業績が異なれば当然PERも異なることとなります。
●期間比較
会社の過去のPERと比較することにより株価が割安か割高かを分析します。これも、過去の業績と現在の業績が異なればPERも異なることになります。
投資経験が長くなってくると、「この業績であればこれぐらいのPERが妥当」という感覚から株価を逆算することも多くなってきます(実際にはその通りの株価にならないことも多々ありますが……)。
実績PERと予想PER
PERには実績PERと予想PERがあります。
実績PERは直近の実績の一株当たり当期純利益により算出されたPERのことです。期間比較をする際には実績のPERを使います。有価証券報告書の「主要な経営指標等の推移」に記載されている株価収益率の項目は実績PERです。
予想PERは将来の予想の一株当たり当期純利益により算出されたPERのことです。一般的に同業他社比較をする際にはこちらを使います。予想PERは決算短信などの「業績予想」に記載されている予想の一株当たり当期純利益により算出されます。
PERは15倍が基準?
よく株式投資の入門書などではPERは15倍が基準であると説明されています。一方で、「PERの15倍という数値には何の根拠もない」と言う人もいます。
実際のところ、株式市場全体のPERが15倍から著しく乖離することは世界的な不況時などを除いて多くはなく、ここ数年は10倍から30倍前後で推移しています。
これはPERという指標は理論的に投資額を何年で回収できるかを示しており、例えば株式市場全体としてPER100倍が「目安」になることなど人間の寿命との関係からあり得ないからであり、結果として15倍ぐらいに落ち着いてると考えられます。
ただし、急成長している会社や一時的に利益が激減した会社などの個別銘柄のPERが100倍などになることはよくあります。
市場全体が買われ過ぎか売られ過ぎかの目安として、PERは15倍が基準であるぐらいに考えておくといいかもしれません。