現金と事業主借の違い|仕訳方法も解説

個人事業主の方から現金と事業主借の違いについてよくご質問を頂きます。この記事では現金と事業主借の違いについて解説します。

目次

現金とは

「現金」とは、仕事用の現金を表す勘定科目のことです。プライベートの現金は含まれません。

事業主借とは

「事業主借」とは、プライベートの現金・預金を個人事業に補充した時、プライベートの現金・預金から個人事業の支払いをした時に使う勘定科目のことです。

現金と事業主借の違い

上記定義で見たとおり、仕事用の現金を使った場合のみ「現金」勘定を使います。そうでない場合は、「事業主借」勘定を使います。

言い換えると、仕事用とプライベートで財布を分けているのであれば「現金」勘定を使う余地がありますが、財布を分けていないのであれば「現金」勘定を使う余地はありません。

仕訳設例

現金と事業主借の仕訳方法を設例で解説します。

(例)
個人事業主Aは1月1日現在仕事用の現金を10,000円保有している。Aは3月31日に消耗品10,000円を仕事用の現金で購入した。また、6月30日にプライベートの現金で会食の飲食費5,000円を支払い、9月30日にプライベートから仕事用に現金10,000円を補充した。

消耗品購入時

仕事用の現金を使った時は「現金」勘定を使います。

消耗品購入時(3月31日)
消耗品費10,000現金10,000

飲食費支払時

プライベートの現金を使った時は「事業主借」を使います。

飲食費支払時(6月30日)
会議費5,000事業主借5,000

現金補充時

プライベートから仕事用に現金を補充した時も「事業主借」を使います。

現金補充時(9月30日)
現金10,000事業主借10,000

「現金」勘定のマイナスの解消方法

これまで現金と事業主借の使い分けができていなかった方は「現金」勘定がマイナスになっていることがよくあります。この原因が事業主借とすべきところを現金としていたのであれば、所得や税金に影響を与えないため実際の仕事用の現金の残高に合うように「現金」勘定と「事業主借」勘定を増やすだけで解消できます。

(例)
現在の「現金」勘定の残高はマイナス10,000円であり、実際の仕事用の現金の残高は5,000円である。マイナスの原因は全てプライベートの現金での支払時に「現金」勘定を使ったことによるものである。

マイナス解消時
現金15,000事業主借15,000

(※1) 実際残高5,000-(帳簿残高-10,000)=15,000 

個人事業の帳簿と家計簿の区別

現金と事業主借の違いを理解するポイントは何のために帳簿を付けているかということです。個人事業主は家計簿のためではなく、個人事業のために帳簿を付けています。そのため、「帳簿にはプライベートのものを含めない」という意識を持つことが大切です。

また、現金と事業主借を正しく使い分けているとそれだけで「ちゃんと帳簿を付けている」という印象になります。この記事を参考にこれまでのモヤモヤを解消して正確な帳簿の作成に繋げましょう。


目次