ドミナント戦略とは、店舗展開のための戦略です。この記事ではドミナント戦略について解説します。
ドミナント戦略とは
ドミナント戦略とは、主に小売業等で特定の地域に集中的に出店することでその地域において競争上の優位性を獲得する戦略です。コンビニエンスストア・スーパーマーケット・ファミリーレストランなどでよく採用されています。
なお、ドミナント戦略を成功させるためには、短期間に集中して出店する必要があるため、フランチャイズによる出店が行われることがあります。
ドミナント戦略のメリット
ドミナント戦略は特定の地域に集中的に出店することで、同じ地域にライバルが参入する隙を物理的にも心理的にも与えません。また、配送ルートが集約化され仕入が効率的になります。
ドミナント戦略のデメリット
ドミナント戦略に失敗した例として、2010年代に急成長後、衰退した「いきなりステーキ」が有名です。衰退の原因の一つとして同じチェーンの近隣店舗同士が顧客を奪い合う「カニバリゼーション」がありました。カニバリゼーションが進むと商圏人口に対して過剰投資となり減損などのリスクが出てきます。
なお、カニバリゼーションを避けるために「プレミアム店」などを出店してターゲット層を変えるという方法があります。
セブンイレブンのドミナント戦略
セブンイレブンはドミナント戦略により成長したことで有名です。商圏が狭い都会では歩いて数分のところにセブンイレブンが隣接していたりするのはまさしくドミナント戦略によるものです。
店舗数の増加自体はセブンイレブンはドミナント戦略により成長してきました。セブンイレブンの過去の決算では度々「高密度集中出店方式」という言葉が登場していますがこれはドミナント戦略のことです。

なお、セブンイレブンの店舗数は1974年の13店から、1984年には2,299店、1994年には5,905店、2004年には10,826店に、2014年には17,491店、2024年には21,743店にと長期に渡って拡大を続けてきました。店舗数の著しい増加はコンビニエンスストア市場の拡大による面がありますが、コンビニ業界首位となれたのはいち早くドミナント戦略を基本戦略としたためでしょう。
商圏分析がカギ
ドミナント戦略の成否は商圏分析にかかっています。ドミナント戦略を進めたとしても商圏分析を誤るとカニバリゼーションが発生して新店・既存店ともに体力を消耗してしまいます。このような場合でも売上高は増え続けるため慎重な決算の分析が必要です。

