決算説明などで登場することが多いFC(フランチャイズ)売上について解説します。
主に本部側の視点で解説しますので混乱しないように注意してください。
FC(フランチャイズ)とは
FC(フランチャイズ)とは、本部と加盟店がフランチャイズ契約を結ぶことにより、本部がブランド名、ノウハウ、仕入の流通網、販売・購買・在庫管理などのソフトウェア、研修などを提供し、加盟店がロイヤリティを払うビジネスの関係のことです。
本部が人材の確保や土地や建物などの設備投資をする必要がないため、機動的に多店舗展開を行うことができます。
本部はとしては小売業や飲食業の他に美容業・教育業・宿泊業など意外にも幅広い業種で利用されています。加盟店としては個人事業主が多いですがフランチャイズビジネスを専門で行う会社などもあります。
身近な例ではコンビニエンスストアなどで利用されています。余談ですが直営店かFC店かはレシートで見分けることができることがあります。
FC売上の会計処理
FC契約にもよりますがFC売上の構成要素は主に4つあります。
①FC加盟金
FC加盟金はフランチャイズに加盟する際に初期費用として加盟店から受け取る料金のことです。数百万円単位であることが一般的です。
②ロイヤリティ
ロイヤリティは加盟店がフランチャイズに加盟している間、毎月または毎年など定期的に受け取る料金のことです。契約により「月〇〇万円」「売上高の〇%」などとされています。
③共同広告
共同広告収入とは加盟店が負担する広告宣伝の料金ことです。広告宣伝は不定期で行われるのが通常のためロイヤリティとは別で徴収します。料金はFC店のエリアにより異なることがあります。
④店舗什器
店舗什器とは陳列棚などの店舗の什器のことで本部が手配することが一般的です。
FC加盟金・ロイヤリティは数百万円が動くため、FC売上の多くのボリュームを占めます。また、これら4つは全てFC売上として会計処理が行われます。損益計算書の開示科目は直営売上と合わせて売上高とされるためFC売上を知りたい時は決算説明資料などで調べる必要があります。
FC売上の損益計算書へのインパクト
先述の通り、FC売上は損益計算書上の売上高として開示されます。
FC売上の損益計算書へのインパクトとして覚えておきたいのは粗利率がほぼ100%であることです。
厳密には加盟店へサービスを提供するためには内容によってはコストがかかりますが、そのほとんどは販管費で処理されます。
そのため、会社のFC店舗の構成比が増えると「店舗数の増加に比べて売上の伸びは鈍化するが粗利率は上昇する」という現象が起きます。
FCの経営へのインパクト
FC展開は人材確保や設備投資が不要、機動的な手店舗展開が可能、粗利率が上昇するというといいことずくめのように聞こえますが直営店とFC店のバランスも重要です。
●直営店が多すぎる場合
直営店は人材確保・設備投資が必要なため、多額の資金を必要とします。そのため、直営店が多すぎる場合、投下資本の回収に時間がかかり、また、借入などにより自己資本比率の悪化などを招くことがあります。
●FC店が多すぎる場合
一般的に本部が直接経営する直営店の方がFC店よりクオリティを維持することが可能です。そのため、FC店を急速に増やすと人材教育が追いつかずチェーン全体の質が下落することがあります。また、FC店が多すぎる場合、本部に経営ノウハウが蓄積されないというリスクもあります。
このように直営店とFC店のバランスは難しく、まだFCノウハウが未熟な会社は直営店とFC店の比率が業績に重要な影響を及ぼすことがあります。