レターパックの購入・使用・保有の会計処理

今回は誤りの多いレターパックの購入・使用・保有の会計処理について解説します。

目次

レターパックとは

レターパックとは、特定封筒の一つで、全国一律料金で、信書や荷物を送れる日本郵便のサービスのことです。
レターパックプラスとレターパックライトの2種類があります。

種類料金受渡方法
レターパックプラス520円対面
レターパックライト370円郵便受け

レターパックの購入は非課税仕入

原則(消費税法)

消費税法上、「日本郵便株式会社などが行う郵便切手類の譲渡」は非課税取引とされています。
そして、レターパックは郵便切手類に含まれるため、郵便局やコンビニなどでのレターパックの購入は非課税仕入となります。

郵便切手類の譲渡が非課税取引とされる理由は、郵便切手類はあくまで郵便というサービスを受けるためのものだからです。
そのため、郵便というサービスを受けた時点、つまり、使用した時点で課税仕入となります。

例外(国税庁通達)

先述の通り、郵便切手類の譲渡は非課税取引です。
しかし、国税庁の通達では、「郵便切手類(自ら引換給付を受けるものに限る。)を購入した事業者が、継続して郵便切手類の対価を支払った日の属する課税期間の課税仕入れとしているときは、これを認める」とされています。

これが意味するところは、使用する目的の切手類を継続して購入時に課税仕入としている時はその処理を認めるということです。
ただし、あくまで購入時に課税仕入とできるだけで、未使用分まで損金・経費にできる訳ではないということに注意が必要です。レターパックは消耗品ではないため、継続的に購入・使用していたとしても未使用分は貯蔵品としての計上が必要です。

レターパックの購入・使用・保有の会計処理

レターパックの会計処理でよくある誤りが、レターパックを購入した会計期間に全額費用処理しているケースです。
上記で見た通り、レターパックは使用分のみ費用計上し、未使用分は貯蔵品として計上する必要があります。
未使用分を費用計上している場合、税務調査で否認されます。

会計処理の方法には2通りあります。購入時に通信費で処理する方法の方が、通常仕訳本数が少なくなります。

(例)当期にレターパックプラスを100枚購入した。その後、取引先への契約書送付のため5枚使用し、期末に95枚残っている(レターパックプラス1つ520円)。

〔購入時に通信費で処理する方法〕

購入時
通信費52,000現金52,000
決算時
貯蔵品49,400通信費49,400
翌期首
通信費49,400貯蔵品49,400

〔購入時に貯蔵品で処理する方法〕

購入時
貯蔵品52,000現金52,000
使用時
通信費2,600貯蔵品2,600

税抜経理の場合

少しややこしいのが税抜経理の場合です。

税抜経理で「原則」の会計処理をする場合、購入時は通信費を「課税仕入」で計上、決算時も通信費を「課税仕入」で貯蔵品に振り替えます。

そして、税抜経理で「例外」の会計処理をする場合は注意が必要です。購入時は通信費を「課税仕入」で計上、決算時は税抜きの金額の通信費を「対象外」で貯蔵品に振り替える必要があります。こうすることで購入分全てを課税仕入として、かつ、未使用分は損金・経費にしないように会計処理できます。

(例)当期にレターパックプラスを100枚購入した。その後、取引先への契約書送付のため5枚使用し、期末に95枚残っている(レターパックプラス1つ520円)。なお、購入時に通信費で処理する方法による。

〔原則(消費税法)〕

購入時
通信費47,273 (*2)現金52,000
仮払消費税4,727 (*1)
決算時
貯蔵品49,400通信費44,910 (*4)
仮払消費税4,490 (*3)

(*1) レターパック100枚52,000×10/110
(*2) レターパック100枚52,000-4,727
(*3) レターパック95枚49,400×10/110
(*4) レターパック95枚49,400-4,490

〔例外(国税庁通達)〕

購入時
通信費47,273 (*6)現金52,000
仮払消費税4,727 (*5)
決算時
貯蔵品44,910通信費44,910 (*7)

(*5) レターパック100枚52,000×10/110
(*6) レターパック100枚52,000-4,727
(*7) レターパック95枚49,400-レターパック95枚49,400×10/110

レターパックの勘定科目

レターパックは荷物を送ることもできます。
そのため、以下のように勘定科目を使い分けるのが適切と言われています。

発送するモノ勘定科目
販売した製品・商品の発送荷造運賃
上記以外の発送通信費

レターパック購入時のインボイスについて

日本郵便株式会社は適格請求書発行事業者ですがレターパックの購入時はインボイスは発行されません。
その理由は先述の通り、原則としてレターパックの購入は非課税取引となるからです。
したがって、レターパックは帳簿の保存のみで仕入税額控除ができることとされています。

管理簿の作成

レターパックの会計処理について見てきましたが、いずれの会計処理を採用するかにかかわらず、レターパックは換金性が高いため、管理簿を作成して期末に棚卸を行うことも大切です。


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