特別注意銘柄とは|「どうなるか」から上場廃止になる場合まで解説

特別注意銘柄とは、上場会社への措置の一つです。この記事では特別注意銘柄について解説します。

目次

特別注意銘柄とは

特別注意銘柄とは、一定の場合、かつ、会社の内部管理体制等について改善の必要性が高いと認められた株式のことです。これは上場制度の実効性を確保することが目的です。なお、「特別注意銘柄」はかつては「特設注意市場銘柄」と呼ばれていました。

特別注意銘柄に指定される場合

特別注意銘柄に指定されるのは、下記の場合、かつ、会社の内部管理体制等について改善の必要性が高いと認められた時です。

・一定の上場廃止基準に該当する恐れがあると認められた後、上場廃止基準に該当しないと認められた場合
上場廃止基準には、支配株主との取引の健全性の毀損・上場契約違反・反社会勢力の関与等があります。最終的に「上場廃止基準に該当しないと認めれた」のに特別注意銘柄に指定されるのは、その後も会社の内部管理体制等について改善の必要性が高いと認められたからです。

・有価証券報告書に虚偽記載があった場合、または、監査報告書に「不適正意見」「意見不表明」が記載された場合
有価証券報告書の虚偽記載や、粉飾決算や内部統制の重要な不備等を理由として財務諸表監査の監査報告書に「不適正意見」「意見不表明」が記載される場合です。

・適時開示の規定に違反した場合
特別注意銘柄に指定される理由で最も多いのが、適時開示の規定に違反したことによるものです。特に過去の粉飾決算を原因として、「開示する情報が虚偽でないこと・重要な情報が欠けていないこと・誤解させるものでないこと」の適時開示の規定のに違反したことによるものが多くなっています。

・企業行動規範の「遵守すべき事項」に係る規定に違反した場合
上場規程の企業行動規範には、社外取締役の確保・インサイダー取引の禁止・反社会的勢力の排除等があります。

・適時開示の規定・企業行動規範の「遵守すべき事項」の改善報告書を提出したものの改善が認められなかった場合
適時開示の規定・企業行動規範の「遵守すべき事項」に違反した場合、証券取引所は改善報告書の提出を求めることができます。猶予を与えたものの改善されなかった場合と言えます。

特別注意銘柄に指定されるとどうなるか

特別注意銘柄指定されると内部管理体制等の改善が求められ、指定から1年経過後に審査が行われます。審査の結果により以下の3パターンがあります。

①「内部管理体制等が適切に整備されているものの運用されている」と認められた場合
特別注意銘柄の指定が解除されます。ただし、継続企業の前提に関する注記がある場合、利益または純資産の額の新規上場基準を満たしていない場合は、経過観察となり最長で3年間審査が継続します。

②「内部管理体制等が適切に整備されているものの運用されていない」と認められた場合
特別注意銘柄の指定が継続されます。また、その事業年度末後に再審査となります。再審査の結果、依然として「内部管理体制等が適切に整備されているものの運用されていない」場合は上場廃止となります。

「内部管理体制等が適切に整備されていない」または「内部管理体制等が適切に運用される見込みがない」と認められた場合
上場廃止となります。

内部管理体制の整備とは、体制が「整っていること」、運用とは体制に従って「実施されていること」を意味します。

IRを継続的にチェック

特別注意銘柄に指定されると審査結果によっては上場廃止となるリスクがあります。会社は指定から1年経過後速やかに内部管理体制の整備及び運用の状況等について開示することが義務付けられており、「改善計画の進捗状況に関するお知らせ」などというIRが開示されます。いきなり上場廃止を知ることにならないように会社のIRを継続的にチェックしましょう。







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