配当率・配当性向とは配当金支払額に関する指標です。この記事では配当性向・配当率について解説します。
配当率とは
配当率とは、純資産または株主資本に対する配当金支払総額の割合のことです。下記の計算式で計算され、出資額というストックからどれだけの配当を行ったかという資本効率を示しています。DOE(Divined on Equity)と略されることもあります。
純資産配当率(%)=配当金支払総額÷(期首純資産+期末純資産)÷2
株主資本配当率(%)=配当金支払総額÷(期首株主資本+期末純株主資本)÷2
設例で解説します。
(例)A社は期末配当として1,000,000円を支払うことを予定している。A社の純資産は期首49,000,000円、期末51,000,000円である。
期末配当1,000,000円÷(期首純資産49,000,000+期末純資産51,000,000)÷2=配当率2%
なお、通常、「配当金支払総額」というと、株主のみならず非支配株主に対する配当も含まれているため、分母を純資産とする純資産配当率の方が理論的に整合が取れています。
配当率の目安
配当率には「理論上の目安」はありません。参考までに上場会社の純資産配当率は3%前後ですが、会社の内部留保の額・成長段階・配当政策等に応じて適正な水準は変わってきます。安定的に配当するためには必ずしも高ければいいとは限りません。
配当性向とは
配当性向とは、当期純利益に対する配当金支払総額の割合のことです。下記の計算式で計算され、純利益と言うフローからどれだけの配当を行ったかという経営判断を示しています。
配当性向(%)=配当金支払総額÷当期純利益
または
配当性向(%)=1株当たり配当額÷1株当たり当期純利益
設例で解説します。
(例)A社は期末配当として1,000,000円を支払うことを予定している。A社の当期純利益は3,000,000円である。
期末配当1,000,000円÷当期純利益3,000,000円=配当率33.3%
配当性向の目安
配当性向にも「理論上の目安」はありません。上場会社の配当性向は35%前後ですが、多くの会社は利益の増減があっても安定的に配当することで株価の安定に繋げる傾向にあるため、年によって波があります。また、高ければいいとは限らないのは配当率と同様です。その理由は、株主の要求利回り(自己資本コストなど)を超える投資案件があるのであれば、配当ではなく、そのプロジェクトに投資することが株主の利益に繋がるからです。
目安は会社・投資家それぞれ
配当率も配当性向も理論的な目安はなく会社・投資家それぞれです。一般的に成長中の会社は配当に消極的で、成熟した会社は積極的に配当する傾向にあります。また、無配を許容できるのか、それともある程度の配当で投資を回収したいのか、目安は投資のスタイル次第とも言えます。