金融投資・事業投資とは会社の投資の分類です。この記事では金融投資と事業投資について解説します。
金融投資とは
金融投資とは会社の投資のうち、時価の変動により利益を得ることを目的とする投資のことです。例えば、売買目的の株式や国債・社債に対する投資などが金融投資にあたります。
事業投資とは
事業投資とは会社の投資のうち、事業の成果により利益を得ることを目的とする投資のことです。例えば、工場や店舗に対する投資、子会社の株式に対する投資などが事業投資にあたります。
投資の種類と勘定科目
金融投資か事業投資かは会社の投資の目的により分類され勘定科目だけで分類されるものではありませんが、勘定科目で一般的な分類が可能です。金融投資と事業投資の代表的な勘定科目は下記のとおりです。
- 金融投資
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棚卸資産(トレーディング目的で保有するもの)・有価証券・為替予約など
- 事業投資
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建物及び構築物・機械及び装置・器具及び備品・関係会社株式など
- 金融と事業の中間的な性格の投資
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投資有価証券・賃貸不動産
なお、通常、事業会社が金融投資を行うことは多くありません。
投資と時価評価
金融投資は時価の変動により利益を得ることが目的のため貸借対照表では時価評価され、損益計算書では評価損益が計上されます。一方、事業投資は事業の成果により利益を得ることが目的のため貸借対照表では時価評価せず、損益計算書でも評価損益は計上されません。
金融投資は「売るもの」、事業投資は「使うもの」です。売ることが前提のものは「時価」、使うことが前提のものは「取得原価」が最も適切な価額だからです。
金融投資が少ない理由
先述のとおり、通常、事業会社が金融投資を行うことは多くありません。これは日本の会社はバブル期に株式や不動産に投資して、バブル崩壊により多額の含み損を抱えたことの反省があるためです。
また、会社法上も金融投資などを行い会社に損害を与えた場合、善管注意義務違反等として、会社または株主から訴訟を提起される可能性があります。経営学的にも会社が金融投資を行うことは、株主が間接的に金融投資を行うことと同じであるため、株主が会社に投資する意味がなくなってしまうと考えられます。
会計学のキーワード
金融投資や事業投資という用語は決算短信や有価証券報告書ではほとんど出てくることがありません。しかし、会計の「時価評価」や「評価損益」などを理解する上で欠かせない会計学のキーワードのため理解しておきましょう。