居抜き物件とは

居抜き物件とは、不動産の以前の所有者等が利用していたモノを残したまま賃貸等される物件のことです。ビジネスでも投資でも「居抜き」という言葉が当り前に使われるようになってきました。この記事では居抜き物件について解説します。

居抜き物件とは

居抜き物件とは、不動産の以前の所有者やテナントが利用していた内装・設備・備品などを残したまま賃貸・売買される物件のことです。これに対して旧所有者等が利用していたものを撤去した物件をスケルトン物件と言います。

居抜き物件は店舗や事務所の賃貸・売買において利用されており、対象となる物件はその時代を反映していることがあります。過去には紳士服業界の不況で紳士服店の居抜きが増えたことがありました。また、最近ではドラッグストア業界の統廃合でドラッグストアの居抜きが増えているなど、対象となる物件に世相が表れています。

居抜き物件のメリット

居抜き物件が活発に利用されるようになった背景には旧所有者等と新所有者等の双方にメリットがあるからです。

具体的には、旧所有者等にとっては、不必要なモノの撤去が不要であることから原状回復費用を抑えることができます。また、新所有者等にとっては、必要なモノが残されていることから初期投資を抑えることができます。
初期投資を抑えることで撤退による損失を最小限に抑えたり、短期間で投資額を回収できるたりするため、新規出店は居抜き物件のみということを方針としている会社も珍しくありません。

居抜き物件のデメリット

新所有者等にとって条件に合う物件が居抜き物件が少ないと出店スピードが遅くなることがあります。また、入居後に実際には修繕が必要であることが発覚したり、想定外の出費が発生するということもあります。

財務諸表への影響

物件を賃貸・売買すると損益計算書の販管費や貸借対照表の固定資産に影響を与えます。
基本的には賃貸の場合は賃借料が「地代家賃」の勘定科目で製造原価や販管費に計上され、売買の場合は物件や内装・設備・備品等が「建物及び構築物」「機械装置及び運搬具」「工具、器具及び備品」などの勘定科目で固定資産に計上されます（賃貸の場合でも一部の内装・設備・備品等は固定資産に計上されます）。

勘定科目	内容	具体例
建物及び構築物	建物	店舗・事務所の建物、内部造作（クロス・タイルカーペット等）など
	建物附属設備	ビルトインのエアコン・ボイラーなど
	構築物	広告用看板など
機械装置及び運搬具	機械及び装置	厨房設備など
工具、器具及び備品	器具及び備品	事務机・陳列棚・陳列ケースなど
地代家賃	賃借料	毎月の家賃など

居抜き物件であっても財務諸表に計上される勘定科目は通常の物件の賃貸・売買と同じです。しかし、居抜き物件の場合、残された設備・備品が経費処理されることがあったり、内部造作が少額で済んだりすることが多く、固定資産の計上額が少なくなる傾向にあります。

時代にあった出店方法

最近では、前の店舗が何であったか分かるような特徴的な外観の物件までもが居抜きの対象になっていたりもします。新規出店の初期投資を抑えることができる居抜き物件は、経済的に合理的で時代にあった出店方法であると言えます。