決算短信と有価証券報告書の違いとその使い分けについて解説します。
開示される決算の種類
上場会社が開示する決算の書類は、上場規程による「決算短信」、金融商品取引法による「有価証券報告書」、会社法による「計算書類」があります。
根拠規程が異なるだけであり決算数値は同じですが、書類の名称、対象期間よる開示の要否、期限、監査/レビューの有無が異なり、投資初心者は混乱することも多いでしょう。上場会社が開示する書類をまとめてみました。
根拠 | 有価証券上場規程 | 金融商品取引法 | 会社法 | |||
名称 | 四半期 決算短信 | 中間期 決算短信 | 決算 短信 | 半期 報告書 | 有価証券 報告書 | 計算書類 |
対象期間 | 四半期 | 半期 | 通期 | 半期 | 通期 | 通期 |
期限 | 45日以内 ※1 | 45日以内 ※1 | 45日以内 ※1 | 45日以内 | 3か月以内 | 定時株主総会の2週間前 |
監査/レビュー | 原則不要 | 原則不要 | 原則不要 | 必要 | 必要 | 必要 |
※1 四半期決算短信・中間期決算短信・決算短信の開示時期については証券取引所からの要請等によるものであり根拠規程はない。
決算短信の入手方法
四半期決算短信・中間期決算短信・決算短信はTDnet(適時開示情報閲覧サービス)や各社のWEBサイトのIRページで見ることができます。
有価証券報告書の入手方法
半期報告書・有価証券報告書はEDINETや各社のWEBサイトのIRページで見ることができます。
決算短信・有価証券報告書の使い分け
ここからは決算短信と有価証券報告書をどのように使い分けたらよいのかについてご紹介します。
①対象期間
決算短信は毎四半期及び通期開示される一方、有価証券報告書は半期及び通期しか開示されません。そのため、第1四半期及び第3四半期は決算短信のみを利用せざるを得ません。
②速報性
特に通期では決算短信の方が有価証券報告書より開示が速いため決算短信を速報として利用することが可能です。
③開示内容
決算短信と有価証券報告書はその根拠規程が異なるため開示内容も異なります。
具体的には、業績予想は決算短信のみで開示されるものとして業績予想が、有価証券報告書のみで開示されるものとして事業の状況・設備の状況・提出会社の状況や一部の注記などがあります。
以上のように取引所のルールである有価証券上場規程は速報性を、法律である金融商品取引法は投資者保護を重視していることから、決算短信と有価証券報告書には期限や開示内容等に違いがあります。
決算数値は同じであるため決算短信を速報版として利用、より詳細な内容を知りたい場合は有価証券報告書を利用するのが正しい使い方と言えるでしょう。