医療法人等の奨学貸付金の返済免除の会計処理

医療法人や社会医療法人などでは奨学貸付金の制度が設けられていることがあります。
奨学貸付金の返済免除の会計処理について解説します。

目次

奨学貸付金とは

医療法人や社会医療法人などでは看護師、准看護士、薬剤師などの医療系の資格を目指す方を対象にして学資金を貸与する制度が設けられています。
この奨学貸付金制度では一般的に、資格取得後、貸付をした医療法人等で一定期間の勤務することで返済が免除されることがあります。

このような制度は人材確保を目的として多くの医療法人等で導入されています。

奨学貸付金の返済免除の会計処理

貸倒引当金を計上しない場合

奨学貸付金の返済が免除された場合、貸付金を福利厚生費や研修費などの適切な勘定科目に振り替えることが行われています。

(例)医療法人Aでは奨学貸付金制度を設けている。奨学貸付金は1人300万円であり、看護師資格取得後3年間、医療法人Aで3年間正職員として勤務した場合には返済が免除されることとなっている。
X1年4月1日に看護学生10人に合わせて3,000万円の奨学金を貸し付けた。X4年4月1日に全員が入職した。X7年3月31日に9人の返済が免除された。

貸付時(X1年4月1日)
長期貸付金30,000,000預金30,000,000
返済免除時(X7年3月31日)
福利厚生費27,000,000長期貸付金27,000,000

貸倒引当金を計上する場合

一方で、過去の奨学貸付金の免除の実績の割合などが分かる場合には、貸倒引当金を設定することが適正な期間損益の計算の観点から必要になってきます。この場合には、対象の職員の入職後に、貸倒引当金を計上することとなります。

(例)医療法人Aでは奨学貸付金制度を設けている。奨学貸付金は1人300万円であり、看護師資格取得後3年間、医療法人Aで3年間正職員として勤務した場合には返済が免除されることとなっている。
X1年4月1日に看護学生10人に合わせて3,000万円の奨学金を貸し付けた。X4年4月1日に全員が入職した。

過去の3年の実績では90%の者が返済免除の対象になっている。X7年3月31日に10人の返済が免除された。

貸付時(X1年4月1日)
長期貸付金30,000,000預金30,000,000
決算時(X5年3月31日)
貸倒引当金繰入額27,000,000 (*1)貸倒引当金27,000,000
返済免除時(X7年3月31日)
貸倒引当金27,000,000長期貸付金30,000,000
福利厚生費3,000,000

(*1) 奨学金30,000,000×過去3年返済免除実績90%




   




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