剰余金の配当の決議機関

5月に入り株主総会招集通知の草案作成が本格化してきました。
剰余金の配当の決議機関についてまとめてみました。

目次

原則(株主総会)

会社法の原則として、剰余金の配当は株主総会の決議によります(会社法454条1項)。
剰余金の配当は株主にとって重要な事項だからです。

例外(取締役会)

一方で、取締役会設置会社は一事業年度の途中において一回に限り取締役会の決議によって剰余金の配当をすることができるとされています(会社法454条5項)。いわゆる中間配当と呼ばれるものです。

また、一定の場合、会計監査人設置会社は、剰余金の配当等を取締役会が定めることができる旨を定款で定めることができるとされています(会社法459条1項)。
さらに、この場合には、剰余金の配当等を株主総会の決議によっては定めない旨を定款で定めることができるとされています(会社法460条1項)

剰余金の配当等を取締役会が決定する旨の定款の定めは、一見株主の利益が害されそうに見えますが、定款変更には株主総会の特別決議が必要なため、株主の利益の保護が図られています(会社法466条)。


なお、上場会社の株主として招集通知を受け取った際に、剰余金の処分議案が記載されていない場合は、剰余金の配当等を取締役会が決定する旨の定款の定めがあることが考えられます。

この場合、注記表(注記表のみインターネットで開示されている場合もあります)の「株主資本等変動計算書に関する注記」で剰余金の配当に関する事項をチェックすることで決議機関などを簡単に確かめることができます。

■会社法454条1項
株式会社は、前条の規定による剰余金の配当をしようとするときは、その都度、株主総会の決議によって、次に掲げる事項を定めなければならない。

■会社法454条5項
取締役会設置会社は、一事業年度の途中において一回に限り取締役会の決議によって剰余金の配当(配当財産が金銭であるものに限る。以下この項において「中間配当」という。)をすることができる旨を定款で定めることができる。この場合における中間配当についての第一項の規定の適用については、同項中「株主総会」とあるのは、「取締役会」とする。

■会社法459条1項
会計監査人設置会社(取締役(監査等委員会設置会社にあっては、監査等委員である取締役以外の取締役)の任期の末日が選任後一年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の日後の日であるもの及び監査役設置会社であって監査役会設置会社でないものを除く。)は、次に掲げる事項を取締役会(第二号に掲げる事項については第四百三十六条第三項の取締役会に限る。)が定めることができる旨を定款で定めることができる。

■会社法460条1項
前条第一項の規定による定款の定めがある場合には、株式会社は、同項各号に掲げる事項を株主総会の決議によっては定めない旨を定款で定めることができる。

■会社法466条
株式会社は、その成立後、株主総会の決議によって、定款を変更することができる。

目次