【株式投資の基礎 第5回】損益計算書

損益計算書は財務三表の一つです。損益計算書について解説します。

損益計算書とは

損益計算書は会社の経営成績を示す財務諸表です。貸借対照表に比べて会計を知らない人でも感覚的に理解しやすい財務諸表です。英語ではProfit and Loss StatementまたはP/Lと言い、日本でも「ピーエル」と言われています。

また、貸借対照表、キャッシュ・フロー計算書、株主資本等変動計算書、附属明細表と合わせて財務諸表を構成します。

損益計算書の構成

損益計算書は収益・費用・利益から構成されます。

収益には「売上高」「営業外収益」「特別利益」があります。費用には「売上原価」「販売費及び一般管理費」「営業外費用」「特別損失」があります。
利益は収益から費用を引いたものが利益で、「売上総利益」「営業利益」「経常利益」「税金等調整前当期純利益」「当期純利益」があります。

各区分に具体的に計上される科目と各区分は以下の通りです。

売上高
商品の販売やサービスの提供の対価の額が計上されます。

売上原価
商品の販売やサービスの提供の対価を得るためにかかった費用（仕入など）の額が計上されます。

売上総利益
売上高から売上原価を引いた利益のことです。商品やサービスの値入れ額のことで粗利（あらり）と言われることもあります。

販売費及び一般管理費
販売費及び一般管理費には販売活動（主に営業所などの営業部門で発生）または一般管理費活動（主に本社などの管理部門で発生）に関する費用が計上されます。例えば営業職員の給与手当が販売費に、本社職員の給与手当や会社全体の広告宣伝費などが一般管理費にあたります。

営業利益
売上総利益から販売費及び一般管理費を引いた利益のことです。企業の本業から得られる利益が表示されます。

営業外収益
営業外収益には本業以外の財務活動（主に金融投資など）などの収益である受取利息や受取配当などが計上されます。

営業外費用
営業外費用には本業以外の財務活動などの費用である支払利息などが計上されます。

経常利益
営業利益に営業外収益を足し営業外費用を引いた利益のことです。企業の本業と財務活動を合わせた利益が計上されます。財務活動の巧みさなども反映された利益です。

特別利益
特別利益には臨時に発生した多額の利益である固定資産売却益などが計上されます。

特別損失
特別損失には臨時的に発生した多額の損失である固定資産売却損などが計上されます。

税金等調整前当期純利益
経常利益に特別利益を加算し特別損失を減算した利益のことです。その期間の税金を引く前の企業の純粋な利益です。

法人税等
企業の所得に対する法人税や法人住民税などが計上されます。

当期純利益
税金等調整前当期純利益から法人税等を引いた利益のことです。株主に帰属するその期間の企業の純粋な利益です。

これらについては投資家としてはもちろんビジネスマンとしても知っておいた方がいいでしょう。

損益計算書の見方

貸借対照表は左側に資産を右側に負債と純資産を示していましたが、損益計算書では売上高から当期純利益までを上から順に示します。
簿記の勉強などでは貸借対照表のように左側（借方）に費用と利益を右側（貸方）に収益を示すことがありますが、実務上は慣習的に以下のように表示されます。

このように損益計算書は会社の経営成績を示しており、例えば「売上高は成長しているか」「本業から利益は出ているか」「販売費及び一般管理費の割合はどれぐらいか」「支払利息を上回る利益が計上されているか」「異常な損失は発生していないか」などを見ることができます。