インタレスト・カバレッジ・レシオは財務指標の1つです。この記事ではインタレスト・カバレッジ・レシオについて解説します。
インタレスト・カバレッジ・レシオとは
インタレスト・カバレッジ・レシオは安全性に関する財務指標の1つです。日本語でも横文字のまま使われています。インタレスト・カバレッジ・レシオはその名の通り、利息の支払いをカバーできている倍率であり、利益等により借入の利息を支払う能力がどれだけあるかを見る安全性に関する指標です。ICRと略されることもあります。
インタレスト・カバレッジ・レシオの計算方法
インタレスト・カバレッジ・レシオは下記の計算式で計算されます。
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)=(営業利益+受取利息+受取配当金)÷支払利息
営業利益に受取利息・受取配当金などの金融収益を加算した利益を「事業利益」と言いますが、分母に事業利益を使う理由は金融費用である分子との整合性を図るためです。
設例で解説します。
(例)A社の損益計算書の営業利益は100百万円、受取利息は5百万円、支払利息は5百万円であった。
(営業利益100百万円+受取利息5百万円)÷支払利息5百万円=インタレスト・カバレッジ・レシオ21倍
インタレスト・カバレッジ・レシオの目安
インタレスト・カバレッジ・レシオの最低限達成すべき目安は1倍です。1倍を下回ると事業利益で利息の支払いをカバーできていないことを意味するからです。また、業種や会社の成長段階によっても異なりますが、1倍~10倍の会社が多く、10倍以上あれば十分な数値と考えられます。
多種多様なインタレスト・カバレッジ・レシオ
インタレスト・カバレッジ・レシオは借入の利息を何で賄うべきかという考え方などにより、様々な計算式が使い分けられています。
簡便的なインタレスト・カバレッジ・レシオ
最も簡単に計算できるインタレスト・カバレッジ・レシオの計算式です。
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)=営業利益÷支払利息
EBITDAによるインタレスト・カバレッジ・レシオ
EBITDAにより借入の利息を支払う能力がどれだけあるかを計算できるインタレスト・カバレッジ・レシオの計算式です。EBITDAとは利息・償却費・税金を控除する前の利益のことです。企業間比較の場合は資本構成や企業の成長ステージの影響を排除できるEBITADAによるインタレスト・カバレッジ・レシオによる比較が有効です。
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)=(営業利益+減価償却費)÷支払利息
キャッシュ・フローによるインタレスト・カバレッジ・レシオ
損益ではなくキャッシュ・フローによるインタレスト・カバレッジ・レシオの計算式です。決算短信の「財政状態の概況」で開示されることがあります。なお、より理論性を重視する場合、分子は(「営業活動によるキャッシュ・フローの小計」+利息及び配当金の受取額)として計算されることもあります。
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)=営業活動によるキャッシュ・フロー÷利息の支払額
状況による使い分け
インタレスト・カバレッジ・レシオは様々な考え方によって多種多様な計算式があることを紹介しました。期間比較するのか、企業間比較するのか、それとも資金繰りに問題がある会社の分析をするのかなど状況によって使い分ける必要があります。