会計士はなぜ投資に失敗するか

会計士が株式投資で失敗する原因について考えたいと思います。

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会計士も投資に失敗する?

会計士が投資に失敗すると言うと「会計士って数字に強いんじゃないの?」と思われるかもしれません。
しかし、株式投資となれば話は別です。

私はこれまで予備校の講師や友人、同僚など株式投資で失敗した会計士を多く見聞きしました。
それも異様なほど多いため、会計士の受験生時代から純粋に疑問に思っていました。

塩漬け株を作ったり、利益度外視の優待投資に走ったり、マーケットから撤退したりなど色々なパターンがあります。

私が会計士になりたての頃、権威あるベテランの会計士が「株で儲かるヤツなんか100人に1人しかいない!」と怒りながらブツブツ独り言を言っていたのが印象的で今でも覚えています……。
また、一昔前はインサイダー取引をして逮捕される会計士がよくニュースで報道されましたが、これは正攻法で結果を出せなかった証拠です。

もちろん全ての会計士に当てはまる話ではありませんが、会計士の9割以上はマーケットでは迷える投資家になります。

会計士が投資に失敗する原因

会計士が株式投資に失敗する会計士特有の原因がいくつかあります。

まず、前提として監査法人に勤める会計士は取引の制限があります。
具体的には監査法人によっては株式投資自体が禁止されているところもありますが多くの監査法人ではクライアントの株式の保有が禁止されています。
上場会社の多くは四大監査法人や中堅監査法人が監査しているため監査法人に勤めていると単純計算で投資先が4分の1ほど(クライアントの資本関係の事情で実際にはそれ以上)限定されてしまいます。

取引の制限があると少ない銘柄の中から投資先を探す必要があり、利益を得る機会が大幅に減ることになります。
これは株式投資に失敗する直接的な原因にはなりませんが、スタート地点でハンディキャップがあります。

より直接的な原因は2つです。

●時間的な制約がある
会計士の多くは監査法人で働いています。監査法人はまだまだ労働集約型のビジネスのため超多忙で有名であり、投資のための時間を確保するのは難しくなります。時間的な制約があると投資の勘は著しく鈍ります。

時間的な制約は会計士に特有の原因ではありませんが決算発表の時期と会計士の繁忙期はほぼ一致するためこれは致命的な原因になります。

●知識がアダになる
当然会計士は会計の知識はあるものの会計士の多くが従事する監査という仕事では特定の勘定科目に目が行きがちになり、また、会計の高度な論点や特殊論点を扱うことがほとんどです。
そして、会計の高度な知識はアドバンテージにはならないにもかかわらず少しマニアックな勘定科目や注記などが出てきた場合などにアドバンテージを感じてしまい投資判断を誤ることがかなり多いのではと感じています。

見方を変えると決算書を読めていないということです。

投資に会計の知識は不要?

会計士でも投資に失敗するということは投資には会計の知識は役に立たないと思われるかもしれませんが、会計の知識があることと決算書が読めることは別の問題です。決算書が読めるとは単に「流動比率がどうだ」とか「ROEがこうだ」とかそれっぽいことが言えることではないのです。

今回は少し変わった切り口で投資について考えてみましたが、スイングトレードや長期投資では最低限の会計の知識が必要なのは言うまでもありません

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